記事一覧

在りし日の彼女を想う

5年ほど前、ある小説投稿サイトで知り合った彼女と大阪のカフェで会うことになった。6歳年下の彼女は、待ち合わせ場所に佇んでいた。眼鏡のよく似合う、長い髪をした女性だった。眼力のありそうなまなざしで見つめられたとき、僕は思わず一目ぼれをしてしまった。彼女に好奇心はあったけれど、文章からイメージする彼女にあまり期待はしていなかったのが、正直な気持ちだった。客の多いカフェで、彼女は自分自身のことを語った。僕...

続きを読む

金曜日の夜に

最寄り駅の繁華街を五分ほど歩いていくと、道沿いに店舗が並ぶ古い建物が見えて、その中でもひと際目立つレトロな看板が目を引く。その看板の店舗は、この繁華街でも老舗の喫茶店という話だった。二ヵ月に一度の頻度で、わたしは自主映画のサークルの会合にお邪魔している。その会合は毎月、第一金曜日の夜に開催されていて、もう三年近く続いているサークルのようだ。映画制作関係者・映画監督・俳優のたまご・デザイナーのたまご...

続きを読む

【創作日記】バリ島・旅日記-その4

朝の散歩に出かけていた私は、友人と約束していた時間から少し過ぎたころにホテルへ戻った。ホテルの庭園を通ったとき、屋外用ソファでくつろいでいた友人とばったり会った。「遅かったな。迷子になったのかと思ったよ」「ごめん。現地の人と話をしてたんで、遅れてしまった」「英語は大丈夫なの?」「いや、日本語で声を掛けられたんだけど、日本語を上手くしゃべる男だったよ」「ああ、ガイドだな。まぁ、信用のできる人もいるけ...

続きを読む

【創作日記】バリ島・旅日記-その3

ヘルメットを外した男は、浅黒い顔立ちでドングリのような目をしていた。30代に思える男は、笑顔を向けて「おはようございます」と、流暢な日本語で語りかけてきた。愛想のいい男の歯並びはきれいで、健康そうな白い歯が印象に残るほどだった。私は、その男に親しみを持った。 突然のバリ人の出現に戸惑いながらも、私はその男に会釈した。「日本の方ですか。トウキョウですか?」「ええ、そうですけど」「ワタシ、ガイドの仕事し...

続きを読む

【創作日記】バリ島・旅日記-その2

バリ島で初めての朝を迎えた私は、友人とホテルのレストランでバイキング料理を味わった。インドネシア料理を口にしたことがなかった私は、食事の面で少し心配だったが、ナシゴレン(焼き飯風)やミーゴレン(焼きそば風)チャプチャイ(八宝菜風)のような料理もあり、食べてみると口に合うことが分かった。バリ島料理・画像(豊富な料理)また、パンの種類も豊富で、どのパンを食べてみても不思議なほど美味しい。なぜ、これほどま...

続きを読む