記事一覧

電子書籍『未来からの贈り物』-試し読み

電子書籍『未来からの贈り物』-試し読み 金曜日の夜、病院の駐車場に着いたのは午後九時ごろだった。 夜間出入り口の扉を開けると、通路の左手に守衛の窓口があった。そこで僕は手続きを済ませ、エレベーターを目指して進んだ。 面会時間は午後八時までなので人通りはない。節電のため、必要最低限の照明しか照らされていない通路は薄暗かった。 エレベーターを降りると、七階のホールも薄暗くひっそりとしていた。左側の壁一...

続きを読む

電子書籍『夏のかけら』-試し読み

 電子書籍『夏のかけら』-試し読み 五月の初旬、石田達也の携帯電話に『バー・エリック』の店長を務める、山中虎太郎から連絡があった。 虎太郎は高校時代のクラスメイトで、達也の親友であった。ひさしぶりに聞く虎太郎の声色には弾むような響きがあり、達也は元気そうな印象を受け取った。「月曜の七時ごろ、俺の店に来いよ。住宅のリフォームの件で会わせたい人がいるんだ」「月曜日の夜……たぶん、大丈夫だと思うけど。相談...

続きを読む

掌編小説『驚きの車内編』をブログで公開

台詞は大阪弁で、軽いタッチのコメデイ風に掌編を描いてみました。 異色作品です。---------------------------------------------------------------------------------------------------------- 平日の午後の車内は、春の陽気を思わせるような、暖かさがあった。 「あんたぁ! なんやのん」  非難する、女性の声が聞こえた。  座席でまどろんでいた私はびっくりして、思わず顔を上げた。  向いの座席側に、黒い眼鏡をかけ...

続きを読む