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【創作日記】美咲から相談を持ち掛けられた詩織は……。

プレゼント-2 (2)

詩織のもとに美咲からスマートフォンに連絡が入ったのは、金曜日の夜だった。
美咲は大学で知り合った友人で、同じ仲良しグループに入っていて、卒業後も付き合っていた。
「ねえ、明日の土曜日の夕方、時間空いてない?」
「どうしたの、急に」
「相談に乗ってほしいことがあるの」
「相談って?」
「彼のことだけど、詳しいことは会ってから話すから……」
と美咲は言って、通話を切った。
翌日の土曜日の夕方、駅前のスタバでお茶をすることになった。
詩織はしっかり者で通っていて、何かと美咲から相談を持ちかけられることが多い。

詩織が駅前のスタバに着いた時には、美咲は奥のテーブル席に座って待っていた。テーブル席の空席がほとんどないほど、店内は混んでいた。
「ごめんね、急に呼び出したりして」
「美咲、ひさしぶりね。それはいいけど……。でも、彼のことって、何?」
「あのね、彼、就職が決まったのよ」
「えっ! 彼氏、転職したの?」
美咲は、笑顔でうなずいた。
美咲の彼氏とは、1度だけ会ったことがある。会ったといっても、大学の構内で2人が歩いているときに遭遇して、詩織は美咲から彼氏を紹介されたのだった。
「卒業してから2年しか経ってないよ」
「就活で入社した会社が、どうも肌に会わなかったらしいの」
「まあ、私の彼氏じゃないから、それはいいけど。で、何なの?」
「実は、就職祝いに彼に何かプレゼントしたいの」
「プレゼントかぁ。何がいいのかなぁ」
詩織は思案したが、すぐには思いつかなかった。「何がいいんだろう」と、心の中で呟いてみた。すると、偶然ひらめきのようなものが浮かんだ。
それは『TABICA』というサイトで見た、iPhoneケースに切り絵でデザインを描く体験の記事だった。詩織は大学のデザイン学科で学んでいたこともあり、特に印象に残った記事の内容だった。
「ねぇ、美咲。あなた、世界にひとつしかないオリジナルのiPhoneケースを彼にプレゼントしたら、どう?」
「えっ! iPhoneケース?」
「そう。あなたが気に入った切り絵のデザインで、iPhoneケースに刻んで彼に贈るの。世界でひとつしかない贈り物になるわよ。それに、毎日スマートフォンは使うものだから、デザインケースを見て、彼はいつも美咲のことを想ってくれるわよ」
「それは名案だと思うけど、デザインなんて思いつかないし……私にもそんなことができるのかなぁ。正直、自信がないなぁ」
美咲は、不安そうな表情を浮かべた。
「『TABICA』というサイトで見たんだけど、それを体験させてくれる講師の先生がいるらしいのよ。それに、美咲が体験するんだったら、二人で行ってもいいわよ。私も自分用に作ってみたいと思ってたの」
「ほんとぉ! 詩織と一緒だと安心。早速、『TABICA』のサイトを検索してみるわ」
美咲の目は輝きをみせて、本当にうれしそうだった。
美咲は詩織の提案がよほどうれしかったのか、早速、手元のトートバックからスマートフォンを取り出し、『TABICA』のサイトを検索し始めた。

切り絵 図案

※この【創作日記】はフィクションであり、実在する個人、団体等とは一切関係ありません。